歯の健康が健康寿命をのばす

虫歯は原因菌が引き起こす感染症だとご説明しました。
ただし菌が存在するだけで、即、虫歯になるわけではありません。

まずは主人公の「虫歯菌」。この原因菌が存在しないと、虫歯という病気が起こることは絶対にありません。
そして虫歯菌が虫歯にしてしまう「歯」が必要です。虫歯には天然歯が必要で、セラミックや銀歯などは虫歯にはなりません。
虫歯菌が活動するためにはエサとなる「食べ物」が必要です。よく磨けていない口内には、虫歯菌が大好きな食べ物のカスがいっぱい残っていて、この糖分を分解して酸を生成し、歯を溶かし始めます。虫歯の始まりです！
ただまだ溶かし始めただけの初期段階では、歯は再石灰化して修復可能です。怖いのは虫歯を進行させる「時間」を与えることなのです。

「歯」「細菌」「食べ物」「時間」。
この4つの条件を揃えて虫歯にしてしまわないことが大事なのです。

認知症の一つに、アルツハイマー病があります。
アルツハイマー病の原因について世界中で研究が進められていますが、2019年に驚きの論文が発表されました。
その内容は「歯周病菌がアルツハイマー病の原因になっている可能性がある」というものです。
研究チームはアルツハイマー病で亡くなった患者の脳を分析し、歯周病菌が排出する毒素を発見しました。
このことから歯周病菌を抑制することで、アルツハイマー病の発症を抑えることができないか、研究が続けられています。

まだ未知の部分のあるこうした先進的な研究ですが、私たちは歯周病を治療し、予防することによって、できる限り認知症のリスクを減らせる可能性があります。

学校や歯科医院の歯磨き指導で、染め出し液を使ったことはあるでしょうか。
歯磨きをした後、しっかり磨けているか確認する真っ赤な液体。ちゃんと磨いたはずなのに赤く残るとがっかりしてしまいますよね。
歯ブラシだけでは、口の中の汚れの6割ほどしか落とせません。歯ブラシだけでは難しい、歯間や歯周ポケットなどの清掃には、他のケアグッズも活用してみましょう。
歯間ブラシは、歯ブラシのヘッドが入らない隙間を磨ける強い味方。挟まった食べカスをかき出します。
歯間ブラシが入らないほど狭い隙間には、デンタルフロスが有効です。持ち手がついたものなどさまざまなタイプがあるので、どれが使いやすいか試してみてください。
歯ブラシよりもブラシヘッドが小ぶりな「スポットブラシ」もあります。奥歯の溝、裏側の歯列、歯間といった部位が磨きやすくなります。

虫歯菌は食べカスに含まれる糖質を分解して、酸を生成し、歯を溶かしています。
普段、人間の口内はアルカリ性の唾液によって、中性に保たれるようになっていますが、食事をすると酸性になります。酸性度合いと時間の関係はグラフ化することができます。食事開始後、約20分間は口内が酸性への傾き、このことは「ステファンカーブ」とよばれています。
食事の時間にメリハリがなく、ダラダラと食べ続けてしまうと、このステファンカーブを何度も引き起こすことになって、口内は酸性の状態が続き、虫歯のリスクが高まります。虫歯菌を元気にさせないためにも、ダラダラ食べや多すぎる間食は見直すことが重要です。
当院では歯磨き指導とともに、唾液検査や生活習慣へのアドバイスも行なっています。
ご自身の虫歯リスクを確認したい方は、ぜひご相談ください。

患者さまがご自身で虫歯予防のための意識を高く持っていただくことは、何より重要なことです。ただ、どんなに歯磨きを丁寧にしようと思っても、毎日完全にというのは無理なことです。唾液の質によって、残念ながら虫歯になりやすい体質だという場合もあります。
当院では、定期的なメンテナンスをおすすめしています。
私たち歯科医院のプロのケアを定期的に受けていただければ、口内に溜まってしまった歯石や歯垢は徹底的に清掃できます。初期の虫歯や歯周病の確認もするので、痛みが発生する前に治療が可能です。
患者さまの予防のための取り組みを、当院がしっかりサポートさせていただきます。

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